真っ暗闇の中で布団に入っているはずなのに、天井に白い雲状の渦巻きが、激しく回っているのが見える。
そう、これは幻覚だ。幻覚は、あまり怖くない。もう何十年もいろんな幻覚が見えているから慣れた。それより、恐いのは人間だ。
あの裏切りから、もう二十数年がたった。
時間が傷を癒してくれると皆に言われた。
あの当時、「時間が癒してくれる?いま苦しいんだよ!物凄く苦しくて、もう1分でも1秒でも、たえられない苦しみなんだよ!死にたいよ…………………………………………………………………………………………………………………助けて〇〇……。」
地獄の苦しみの中、何年も何年も耐えて、俺は完全に壊れてしまった。
恐いのだ!人間が!!
幽霊や幻覚なんて人間に比べると全然怖くない。生きている人間が恐いのだ。
俺は、壊れる前は、犬のように人懐っこい人間だった。人間が大好きだった。
だから、無防備だったのだろう。精神(こころ)の全てを………………………。
今は、完全に距離を取っている。どんな人間にも。信頼している人間にでもだ。信頼しているのに恐い?それは、おかしい矛盾している。いや、矛盾しているかどうかは、大した問題ではない。とにかく恐いのだ。
時間が傷を癒してくれる?
もう二十数年たったよ!
歯を食いしばって頑張って生きてきたよ。
治したいんだよ!
でも無理………。
春風が私のもとに毎年運んでくる。〇〇との出会いと別れの感覚を。
だから私は、大好きだった春風のことも、大嫌いだ。
春風に
想ひ苦しみ
咲き乱れ
桜のやうに
散りし我かな YUITA
こころ、いつか治るかなぁ?