ひとつばな

最近読んだ漫画で「ひとつばな」というものがある。なんでも、ひとつばなとは、心に咲く花で、その花を一旦咲かせてしまうと、

地位も名誉も常識さえも捨て去ってしまうという、呪いの花とのこと。花を咲かせた人は不幸になるそうだ。その花以外の全てのものを壊し続けてしまうからという理由らしい。

実は私は、その花を、よく知っている。

姿かたちも、克明に覚えている。そしてその花を咲かせた人がどうなるかも………身を持って知っている。そう私も、ひとつばなを咲かせた一人だからだ。ひとつばなは一度咲いたら最期、もう咲く前までの自分に戻れない。

私も、夢やそれまでしてきた努力や身体や社会的地位など、すべて壊し続けて生き続けた。あの花は咲かすべきではなかったと、今でも思う。この花の根は根強く、今なお私を支配し続けている。私は、19才の時に咲かせたひとつばなから、逃れることなく人生を終えるであろうと今でも確信している。